こんにちは。めがね先生です。
ここでは次のような悩みを抱えている人に読んでもらいたい内容です。
- 物理に苦手意識がある
- 問題集を何周も解いているのに成績が上がらない
- どうやって勉強したらいいのかわからない
- 理解したつもりなのにテストで点が取れない
僕は中高一貫の学校で教員をしていますが、上記のような悩みを抱えている生徒が最も多いです。
そのような生徒に対してこれから紹介する勉強方法を提案してみたところ、非常に効果があったので、共有したいと考えました。
どのような効果があったのかというと、物理基礎の出来がよくないため、物理本体を選択することを止められていた生徒が、物理のテストで学年トップ5に入ることができました。
生徒の努力の賜物だと思いますが、すごく喜んでくれたので、どこかで以下の勉強方法が役に立つと信じて、書いていきます!!
物理がまったくわからない人は定義を覚えていない
物理は覚えることが少ないから楽。というのは半分合っていて半分間違っています。
覚えるべきことは確かに少ないと思いますが、定義を覚えていなければ、教科書でもまともに読むことはできません。
英語って、単語がわからないと文章を理解できませんよね。物理も同じです。「物理量」と言われる単語を理解せずに、教科書を読むことはできません。例えば、「遠心力」を調べてみると
https://ja.wikipedia.org/wiki/遠心力より
とあります。「慣性系」「回転座標系」「慣性力」という言葉の定義を知らなければ、この文章を理解することはできません。そして、定義は覚えるしかないのです。つまり、忘れない努力こそが、物理を理解する近道です。
問題を解く上でも同じことが言えます。問題集を1から順番に解いていったら、最後の問題に到達するときには最初の方に解いた問題は忘れてしまいます。「忘れないように」というのは常に頭に入れておきましょう。
エビングハウスの忘却曲線から学ぶ復習とは
突然ですが、復習について真剣に考えたことはありますか?
小学校から先生達に口酸っぱく復習、復習と言われているので、取り組んだことはあると思います。ただ、先生達はどのように復習をすればいいのかを教えてくれたでしょうか。復習には適した回数、タイミングが科学的に研究されています。これを知らずに、「ただ」復習をしても最大の効果は得られません。
「エビングハウスの忘却曲線」という理論があります。復習について調べると必ず登場します
- 1時間後には56%忘れる
- 1日後には68%忘れる
- 1ヶ月後には79%忘れる
ということがわかる研究です。ただし、これは「意味のない言葉のられつ」を覚えたときの研究なので、意味のある言葉を覚えた時とは違いますが、、、
1日後には半分くらい忘れてしまっているということですね。生徒に質問しながら授業を進めているのですが、このデータは残念ながら間違っていないと思います。
ただ、安心してください。次のようなデータも研究されています。
勉強をしてから24時間以内に復習をすれば、記憶は100%まで戻ります。このデータのすごいのはここからで、一度復習をした記憶は失われづらく、次に復習をするのは1週間以内で良いのです。さらに、次に復習をするのは1ヶ月以内で効果が得られます。
1日後には記憶は70%程度も失われているので、復習に時間がかかります。24時間以内に復習をすれば、失われた記憶は50%程度なので比較的容易に取り戻すことができます。
その日のうちに復習しましょうと先生がいっていたのは、こう言った理論に裏付けられていたことだったのです。
復習用のノートの作り方[実践例あり]
エビングハウスの忘却曲線は、復習をするタイミングと頻度について考えるものでした。でも、肝心なのはそこではなく、「どうやって復習するの?」ということです。
復習をするための準備は、問題集を解きながらしましょう!!
この記事で最も伝えたいことです。
問題集を解くときに、復習をするためのノートと、計算をするためのノートを2冊作ってください。
自分が問題集を解いたときに作ったノートがあったら、それを見てみてください。問題を解くときに、教科書を見たり、解説を見たり、ノートをみたりしながら取り組んだと思いますが、その形跡は残っていますか?
多分残っていないと思います。問題を解くことに必死で、後から見返したときに、何が書いてあるのかわからない状態になっているのがほとんどではないでしょうか。僕もそうでした。
そのようなノートから復習をするのは不可能と言ってよいです。復習をするときには、再び問題集を解いて、教科書を読んで……というのを繰り返すしかありません。
さぁ復習をしようというときに、ノートを開いて、教科書を開いて、問題集を開いて…と考えるだけでも苦痛なシステムを一度やめてみてください。
「自分が新たに発見したこと」「大事だと思ったこと」「わからなかったけど解決したこと」だけがメモされている、自分だけのノートを作ってください
復習の時にはノートだけ開いてください。他の参考書を開かないといけないようでは、まだノートの作り方に工夫の必要があると思います。
例えば、次のような問題でノートを作ってみます。できたら一緒に解いてみてほしいですが、解けなくてもノートのイメージが伝わればと思います。
ばね定数k[N/m]の軽いばねに質量m[kg]のばねをつるして、おもりを下から持った台で、ばねが自然の長さになるように支えている。重力加速度の大きさg[m/s2]
(1) 台をゆっくりおろしていくとき、x[m]だけ下がった位置でだいがおもりを支える力の大きさF[N]を求めよ。
(2)おもりが台から離れるときのばねの伸びx1[m]を求めよ。
(3)はじめの状態で台を急に取り去った場合、最下点でのばねの伸びx2[m]を求めよ。
下に、成績がかなり伸びた生徒のノート(回答)を紹介します。
- 図が書き込まれていることで、どのような問題かわかる
- 考えるべきポイントがおさえてある
- 余計な計算式を書いてない
- 使った式や、その条件が教科書から抜き出されている
- 間違えたところ(間違えやすいところ)が「注意!」と書かれている
(1)や(2)なども書く必要はないと思います。なぜなら問題集をなるべく開かず、ノートだけで復習する仕組みを作りたいからです。
この復習ノートを作るのは、初めは難しく感じると思います。ただ、このノートを作ること自体、頭の中が整理されるので、学習には効果的です。考えてノートを作っているので、復習したときに、自分が「何を考えていたか」を思い出しやすいというメリットもあります!!
まとめ
問題集を何回か解いてもテストで良い結果が出ないとか、物理の授業の内容が理解できないという悩みは、もしかしたら復習で解決できるかもしれません。
そしてもう1つ、重要なのは復習に使う参考書です。初めは学校で購入する参考書を用いて、定期テストの勉強に向けて、復習ノートを作ってみてください。リードαやセンサーなど、有名な参考書は、単元ごとに必要な知識を含んだ問題で構成されています。例えば
88 ●力学的エネルギー 下の図は…
のように、問題番号と一緒に、学習する内容が書いてあるのでノートをまとめやすいと思います。
しかし、入試対策としては、今一つ物足りなさを感じます。それは、「いろんな公式を使う必要がある複合問題が少ない」ということです。
物理の入試問題では、問題の状況から使うべき式を考える必要があり、その訓練もしていくべきです。複合問題を解いていく中で感じたことや、注意すべき点は、学校の参考書から得られるものとは違ったものでしょう。塾などに通っていれば、そこでの参考書を頼りにすれば良いと思いますが、問題の量が膨大で、ノートを作る余裕がなくなってしまうという話も聞きます。
ですので、
- 問題の精選がされている
- 問題の量はそこまで多くない
- 多くの範囲を扱っており、漏れが少ない
- 複合問題がたくさんある
という観点から、次の参考書を生徒におすすめしています。
- 物理のエッセンス 力学・波動 (河合塾シリーズ)
- 良問の風物理頻出・標準入試問題集 (河合塾シリーズ)
有名なものですが、ただ解くのではなく、復習ノートを作ろうと考え、工夫することで、最大の成果を得てください!!